長崎大学歯学部同窓会創立15周年記念学術講演会

 シンポジウム
「う蝕予防におけるフルオリデーションの科学的根拠」

長崎大学歯学部予防歯科講師
川崎 浩二 先生

 [略歴]  
昭和58年 新潟大学歯学部卒業
昭和58年 長崎大学歯学部助手
平成 2年 長崎大学歯学部附属病院講師
  現在に至る

 [抄録]
  近年、医療・保健の分野ではEvidence-Based Medicine(EBM)の重要性が叫ばれている。EBMとは世界中の科学的論文を可能な限り全て収集し、それらを適切な方法で批判的吟味した上で最も効果 的な医療を患者に提供しようとするものである。
 日本ではう蝕予防といえば、まず「歯磨き」という観念が常識化している。しかし、カナディアン・タスク・フォースが発表した「EBMに基づいたう蝕予防法の評価」によれば、「歯磨き」の予防効果 のエビデンスの質は最も低いレベルの�:「臨床経験に基づく権威者の意見、記述研究や専門委員会の報告書によるもの」であり、推奨されるレベルはC:「う蝕を予防するという科学的根拠に乏しい」と評価されている。
 このように科学的にその効果が裏づけられていない方法が旧態依然として幅を聞かせている背景には,EBMのような科学的検証の情報が広く一般 に流布していないためであろう。
 今回の発表ではまず
1)フルオリデーションの基本的う蝕予防メカニズムと安全性について概説し、引き続き
2)EBMに基づいたフルオリデーションの評価を紹介する予定である。