広がる再生医療の世界〜歯科医療への展開
医学、医療は今世紀にはいって、大きな転換期を迎えており、これからの10年間でさらに大きな飛躍を遂げると予想される。その基盤となるのはゲノム科学と再生医学の発展である。ヒトゲノム情報は2001年にほぼその全容が解読され、その結果
、さまざまな疾患原因遺伝子の同定が可能になった。これにより個人の特徴に応じたオーダーメード医療が現実味を帯びてきた。また再生医療では修復不能の組織や臓器の障害にたいして、移植なしで人体再生ができるようになる。これら二つの医療技術は、現在われわれが予想している以上に、将来はより大きな社会的インパクトをもつようになるだろう。なぜならこれらは臨床医学への画期的な貢献だけではなく、過去のいかなる医療技術よりも、バイオ産業の発展に本質的な影響を与える可能性があるからだ。
そこで本講演では、未来医療といわれるゲノム科学と再生医療の研究の現状を解説し、その成果
がどのように歯科臨床に応用されるかを展望してみたい。
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講師 上田 実 先生 名古屋大学大学院医学研究科 |
[略 歴] | ||
昭和53年3月 | 東京医科歯科大学歯学部歯学科卒業 | |
平成1年4月 |
名古屋大学医学部付属病院講師(歯科口腔外科) | |
平成6年6月 | 名古屋大学医学部教授(口腔外科学講座) | |
平成11年4月 |
名古屋大学大学院医学研究科 頭頸部・感覚器外科学講座教授 |
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(現 在) |
ワシントン大学口腔外科客員教授 |
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[著 書] | ||
●再生医学と生命科学 (編著),共立出版,東京,2000年 ●Hand & Soft Tissue Engineering in Implant Surgery (共著),Materials Science & Engineering,2000年 ●Tissue Engineering: Applications for Maxillofacial Surgery (共著),Materials Science & Engineering,2000年 ●咀嚼健康法―脳と体を守る―,中公新書,1998年 ●ティッシュエンジニアリング (編著),名古屋大学出版会,1999年 ●仮骨延長法の基礎と臨床 (編著),クインテッセンス,1999年 ●咬むことと脳の働き,デンタルフォーラム,2000年 |