4.フルオリデーションには有害な効果があるか?
Notes:
回帰分析の結果、有意なdose-response関係が認められた。
Systematic Reviewには以下のようにかかれている。
異なった歯牙フッ素症の指標を使っている。TSIF, T&F, DDEでは0以上を,Deanの分類では疑型もFluorosedとして分類した。
このレポートで用いた「fluorosis」とはフッ素が原因ではないエナメル質の不透明部(opacities)も含んでいる。従ってこの報告書でいう歯牙フッ素症のレベルは真の歯牙フッ素症の有病率よりも過大評価されている。
審美的に問題であるという基準はHawley(1996)の論文によるものである。マンチェスターの14歳の子供達にT&F分類の歯牙フッ素症の写真を見せてvery poor, poor, acceptable, good, very goodの5段階で回答させ,very poorとpoorを審美的に問題あるものとした。これはT&F指標の3以上,Deanの分類のmild以上,TSIF指標の2以上に匹敵する。
Prof.M.A.Lennonのコメント(Univ. of Liverpool School of Dentistry)
ヨーク大学のこの創設で最も驚くべきかつ問題になることは,フッ化物歯磨剤,フッ素錠剤の個人的フッ化物応用による影響を考慮していない点である。
たとえば,北米のフッ素化地域に住む10〜22%の子供たちはフッ化物錠剤を使用しているという.また,別な研究者は,フッ素化地域におけるフッ素症の71%もの多くがフッ化物歯磨剤の摂取によって起こり得るものだと示唆している.イギリスにおける天然フッ素レベルが0.58 mg/ l以下の地域で行われた二重盲検調査では,低レベルフッ化物歯磨剤(550 ppm)を用いている2−5才の子供たちのほうが,通常の歯磨剤(1050 ppmF)を使っている8才の子供たちよりも「歯のフッ素症」が有意に少なかったことが示されている.
この議論が重要なのは,イギリスにおいて至適フッ素濃度のレベルを1.0 ppmから0.8ppmに引き下げて歯のフッ素症の危険性を減らそうという話が起こっていることである.
同様なことはアメリカでもあった.しかし,アメリカにおける議論の方向は,とくに低年齢の子供たちのための至適フッ化物濃度歯磨剤を考慮すること,また内科医や歯科医に対して,錠剤やドロップスを処方する際に飲料水のフッ素濃度レベルを考えるよう強力なガイドラインの必要性を示すなど,この問題をもっと幅広くとらえるものであった.イギリスにおける同じ問題についても,重要なのは,その議論がフッ素化以外の個人的なフッ化物源を考慮すべきということである.
このページのはじめは,フッ素化によるネガティブ健康影響の可能性を述べているものである.そのほとんどの資料はフッ素症にかかわるものである.歯のフッ素症は,美的に好ましくない状態をもたらすことがあるものの,その歯の健康を侵すものではない(Eklund and Burt参照)のである.
7部の第三章(訳注:「感度分析」のところ)において,1よりも大きいTSIF, TF, 改良DDEスコアを,Deanの疑問型あるいはそれ以上のものとひとまとめにするのは正しくない.
Deanの疑問型は,曖昧な記述で不確かな区分域となっている(そのため,0.5というスコアになっている).斑状歯のある者とない者とを二つにわけるときに,Deanの疑問型を(訳注:上記のように重症型と一緒にするのではなく)正常と一緒にするのが慣例であった.Deanの疑問型が曖昧であることが,後に研究者たちがTSIFやTFを作った一つの理由ともなっている.
0.7, 1.0, 1.2 ppm Fの地域において,美的問題のあるフッ素症をもつ人の割合が似たようなものであることに私は驚いている.また,美的問題のあるフッ素症は,0.1, 0.2, 0.4 ppmF 地域で6.3〜8.2 %の範囲となっている.このことは,飲料水中のフッ素以外の要因がその原因にかかわっていることを示唆している.