大学病院や総合病院地方などの大きな歯科診療施設を持たない小さな町で、いわゆる個人診療所を営む歯科医師としては、予防から修復、補綴処置、歯周外科やインプラント診査手術まで様々な処置を一人でこなしていかなければならない。しかし一人の一般 開業歯科医師だけではすべてを解決することはできないため、そのような問題が発生した場合には専門医やテクニシャン、ハイジニストなどと意見交換をしながら治療計画を練り、診療にあたっていくこととなる。また、様々なテクニックや機材が生まれ、使用、改変され、そして淘汰もされ、当然であるが、それは今現在も続けられていることである。膨大な情報が飛び交う現代の状況であるが、その中でひとりの一般 開業医が得るころができる情報は限られているし、何を知り、身につけ、臨床に取り入れるのかという判断は非常に困難であろう。ともすれば、新しい情報のあたかも相対するような内容にとまどい、新しいすべてのものを否定してしまうような状況に陥らないとも限らない。そこで、我々はスタディーグループを各歯科医院における診療のひとつの核ととらえ、情報交換や単なる症例検討のみではなく、矯正医やテクニシャンとともに治療前の症例についての討論を行い、一つ一つの細かい処置についても検討を重ね、実際の臨床に取り入れている。今回は我々がスタディーグループCCDとDOTの中で、日々の臨床のレベルアップを図るために話し合い、取り入れている方法を中心に、グループのメンバーであり長崎大学出身の岩永、甲斐両先生とともにご紹介させていただきたい。しかし、それらの方法のなかには、現在の日本の日常臨床において一般 的ではないものが含まれているし、また、ご理解いただけないものもあるかもしれない。ご批判をお受けすることもあると思われるが、敢えて拙い症例を提示させていただき先生方のご指導を仰ぎたい。