平成12年度第3回学術講演会 |
平成13年2月3日(土)、午後5時より臨時評議員会終了後に長崎大学歯学部5階第一講義室にて、平成12年度の学術講演会を行いました。受講者は、約80名でした。
講師には、九州歯科大学を卒業され、長崎大学歯学部に近い片足鳥居のそばで開業されています松尾敏信先生をお招きして「すべての人々が健康に」という演題でご講演いただきました。講師の松尾敏信先生は、公衆衛生的な予防歯科に関して尽力され、予防にはフッ素の導入が不可欠であることを強調され、フッ素の導入を推進しようという目的で「長崎県子供の歯を守る会」を1977年に発足し、パネル展示、むし歯予防相談、歯磨き指導、フッ素無料塗布などを内容とする「母と子のむし歯予防教室」を、一般
市民を対象に長崎市および諫早市で数十回開催。また、1979年から香焼町歯科保健活動を開始、歯科検診による実態把握、地域住民への歯科保健啓蒙普及、フッ化物塗布など公衆衛生的な活動を積極的に行っています。現在、香焼町は県下でもう蝕が少ない自治体として知られています。また、全国的な活動として、「日本むし歯予防フッ素推進会議(日F)」発足参加し、「むし歯予防全国大会」を現在までに2回開催され、それに尽力されてきました。現在では、「すべての子供たちに健康を」から「すべての人々が健康に」
とステップアップして「長崎県子供の歯を守る会」から「長崎フロリデーション協会」への名称改名を行い、同協会の副会長として、フロリデーション(水道水のフッ素化)というう蝕予防方法を普及啓発、そして実{するための活動をしています。
講演では、むし歯の洪水が社会問題となっていた1977年に長崎県子供の歯を守る会を結成以来、市民の啓発用のパンフレット作成、公衆衡生活動をテーマとした学術講演会の開催、むし歯予防全国大会の開催(2回)、地域でのむし歯予防講演会、香焼町の乳幼児から学童の地域歯科保健管理の支援、歯の衛生週間における長崎市と長崎市歯科医師会との行事への協力参加、会報づくり等、公衆衛生的フッ化物の応用を地域社会に定着すペき活動について説明され、成果
としての、現在での長崎県でフッ索洗口実施施設の増加傾向についトお話ししていただきました。また、フッ素は子供達だけを対象とした対策でなく、幼児から高齢者までのすべての人々のう蝕の問題を解決するために不可欠であることを強調され、健康の不平等の問題でもその解決のためにはフッ素は不可欠であり、これらの要件をすべて包括したむし歯の予防法は水道水フッ素化しかないということをお話していただきました。また、世界では、WHOの健康憲章で健康を人間の基本的権利として位
置づけ、1978年アルマ・ア夕宣言ですべての人々が健康であるために、その健康戦略としてプライマリー・ケアを提示していることや、さらに健康を支援する環境と公的施策の重要性を指摘したヘルス・プロモーションへと発展させ、この新しい公衆衝生の活動の場として都市を中心としたヘルス・シティー・プロジェクトを提唱していることなど、現在世界各国で特色のある様々な取り組みが行われていることなどについてお話されていました。
このように歯科医療の向上に限らず人々の健康を自分個人の病院単位ではなく、非常にグローバルな単位
で考えており、それを実現させよう努力されているのが伝わってきて感動さえおぼえる内容でした。活発な質疑応答もおこなわれ非常に充実した講演会でオた。講演後も松尾先生の熱意を含めてよかったという意見が多くありました。
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常務 北浦英樹
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