平成13年度学術講演会 |
講師は東京都品川区でご開業の永井 茂之先生でした。先生は大学卒業後渡米、ハーバード大学歯学部にて研修され、審美歯科とレーザーデンティストリーを中心に現在講演で大活躍なさっており、今回の講演会も超多忙の中なんとか日程を調整してもらい開催にこぎつけました。前日に来崎されたときには体調を崩されておりましたが当日は軽快な関西弁バージョンのトークで大変面
白い講演でした。
今回はホワイトニングを中心とした審美歯科治療について講演していただきましたが、ホワイトニング、つまり歯を白くするアプローチは、クリーニング、ブリーチング、ダイレクトボンディング、ラミネートベニア、被覆冠とケースによって様々だが、ブリーチングについてもオフィス・ブリーチングとホーム・ブリーチング、ウォーキング・ブリーチングに分類され、それぞれの各種漂白法の理論と成功に導く手技、コツ、診査・診断の要点が展開されました。
一般に「オフィス・ブリーチングが良いのか」「ホーム・ブリーチングが良いのか」という議論がなされるが、ケースや患者の性格によって選択されるものだといえると思われます。また、オフィス・ブリーチングについては効果
が上がらなかったとして途中で止めてしまった事例が多いようだが,成功させる前提条件として、術前クリーニングの徹底、ランプの交換、始めから難症例に取組まない事があげられ、この基本を踏まえないことが失敗の原因であるようです。
午後には症例の提示をおこないながらの臨床編でしたが、コンサルテーションの重要性を強調されました。術者の知識、技術レベルが上がってもクライアントに的確に伝わらなくては意味をなさない、つまり、欠損歯の補綴、保存修復といった日常診療のなかで、「歯を白くする」という治療行為の位
置付けを明確化することによって,不必要な過剰診療を防ぐことができるなどこれまでより広い補綴の選択肢を提供できるメリットが得られるようになったわけで、ブリーチングを取り入れることで治療計画全体が大きく変わるため、これまで以上に患者さんとのインフォームドコンセントが重要だと思われました。またこれにより我々の診療の幅も確実に広がると思いました。
最初から最後まで本当に退屈な時間が全く無く、あっという間に講演が終わってしまったようでした。
学術 石田豊